活動内容

特定非営利活動法人(NPO法人)せっけんの街 の活動内容

せっけんの街とSDGs

始まりはせっけん運動

39年前、全国一汚いと言われている「手賀沼を守ろう!」と、生協、漁協、労働組合、自然保護団体などが参加し、共に行動を始めたのが、せっけんの街の活動のはじまりです。当時は経済発展が優先され、各地で公害問題が騒がれ、都市部の河川や湖沼は汚染が進みとてもひどい状態でした。活動を進めていくうちに、手賀沼の汚染源は近隣から流れ込む家庭雑排水だということがわかりました。そこで加害者である私たち自身の生活スタイルを変えることで、沼をはじめとした水環境を少しでも改善できないかと考え、当時、洗濯に使われる合成洗剤に含まれるリンが富栄養化現象を起こし、沼の水質汚濁の原因をもたらしていることが分かり、合成洗剤をやめて環境に負荷の少ないせっけんを使う暮らしの提案を始めました。

日本で初めての市民出資によるリサイクルせっけん工場建設へ

またそのほかにも環境に悪影響をもたらせているものが、雑排水とともに流されていた使用済み食用油(以下廃食油)でした。ゴミとして捨てられていた廃食油から良質な水環境に負荷の少ないせっけんができることを知り、市民出資による、リサイクルせっけん工場を建設する活動を展開しました。趣旨に賛同し出資した市民は1万人を超えました。1985年、柏市に「手賀沼せっけん工場」は建設され、私たちは廃食油の回収とリサイクルせっけんの普及活動を始めました。

当時は手作りせっけんがブームとなり、十分に鹸化されていない廃油せっけんが多く作られていました。油分の残るせっけんを使うことは油を排出することに繋がります。そこで、設備の整った工場で鹸化技術を持った職員により、良質なせっけんを提供することも大切と考え工場を建設しました。製品の品質については毎年成分試験を実施し管理しています。また、せっけんの街はリサイクルせっけん協会の関東地域幹事と事務局を担っています。毎年製造技術向上のための研修会を開催し、リサイクルせっけんの品質の向上に努力しています。

せっけん運動から街づくり運動へ

手賀沼せっけん工場が建設され、約25,000世帯から出る廃食油が回収され、月12トンの粉せっけんが生産され、家庭で使われるようになりました。生産の現場では雇用が生み出され、障がい者とともに働く職場ができました。そこで私たちは、たくさんの人々の思いが形になり、街を作っていくことに気づきました。10年後、もうひとつの汚れた沼、印旛沼の近隣に「印旛沼せっけん情報センター」を建設しました。その間地域で志を同じくする他の団体とのネットワークを広げていきました。30余年間の活動を支えてきた原動力は「活動と事業」の両輪だと考えています。事業面では、総計2万人の人々の出資で建設された2つのリサイクルせっけん工場を維持し、そのまま流せば水環境を悪化させる廃食油から良質なせっけんを作るというリサイクル事業を採算に乗せること。活動面では、各地域のメンバーが、環境にやさしいリサイクルせっけんを使うことは、市民が日常生活の中で参加できる環境活動であり、一人一人が環境について考える機会でもあることをPRし、一年一年実績を積み上げる努力をしてきたことが、現在に繋がっていると考えます。

せっけんの街ってこんな街

○「次の世代に豊かな環境を残したい、住みよい街を作りたい」そういう思いを持つ人々が集まり、NPOせっけんの街は誕生しました。

会員は多様な活動の場を提供されています。廃食油回収に協力する。イベントなどでせっけんのアピールをする。子どもたちの環境授業の先生になる。リサイクルせっけん工場で働く。会費を提供して会の活動を応援するなどなど、思いを同じくする人々が街を作っていくと考えます。

健常者と障がい者が共に助け合いながら働く職場つくり

NPOせっけんの街は、ユニバーサル就労の先駆けとして、手賀沼工場に1名(勤続28年)、また「ほくとの家(NPOありのま)」にせっけんの袋詰め作業を委託しています。健常者と障がい者がお互い助け合いながら工場運営を行っています。

廃食油回収・再利用のための活動

洗濯や台所での食器洗い、シャンプーなど、私たちが毎日使う洗剤をせっけんに変えることで、1999年に公布されたPRTR制度(有害性が疑われる化学物質が、どこから、どのくらい、環境(大気・水域・土壌など)中へ排出されているか(排出量)、廃棄物などとして移動しているか(移動量)を把握し、集計・公表する仕組み。環境中の化学物質のリスク低減を目的とする。)の指定物質である環境に悪影響があるとされる化学物質を減らすことができます。(※2020年12月4日~2021年1月4日に実施された「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令案」へのパブリックコメントでは、合成洗剤成分とせっけん成分を第一種指定物質として同一にくくる政府案に私たちは反対の意見を表明しました。なぜなら、河川・湖沼・海にはカルシウム等が豊富に存在しており、せっけん成分(脂肪酸塩)は環境放出後に速やかに金属せっけん(脂肪酸カルシウム)になり生態毒性は発現しないからです。脂肪酸カルシウムは家畜の飼料にも使われている物質です。使われてから5000年とも言われるせっけん成分(脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム)が、有害指定物質に入ることは考えにくく、実験のやり方に疑問を感じています。)またせっけんは分解も早く、排出後の環境への負荷も少ないことが知られています。しかも、原料は使用済み食用油(廃食油)、まさに環境にやさしい地産地消の循環型街づくりへの第一歩です。さまざまなイベントに参加し、リサイクルせっけんのアピールをしています。