活動内容

特定非営利活動法人(NPO法人)せっけんの街 の活動内容

環境に悪影響があるとされる化学物質を「買わない・使わない・排出しない」生活への提案

私たちの生活にはいろいろな化学物質が氾濫しています。PRTR制度の指定物質の中で、家庭からの排出量で最も多いのが合成洗剤の成分と殺虫剤の成分です。この2つの物質を使わないことで、家庭からの指定物質の排出量を限りなくゼロに近づけることができます。そこでせっけん以外にも環境に配慮した商品をインターネットなどで提供をしています。生活の中でこれらを選択することで環境に排出する量を少なくし、持続可能な社会を作ることを目指しています。

環境学習・ワークショップの企画運営

次世代を担う子供たちに環境への関心を持ってもらうことは重要です。毎日の生活が環境に直接影響をもたらしている現実を知ることで、少しでも環境に負荷の少ない生活を選択する力、今よりももう少し先を見る力を養うために、小学校や市民活動団体などの環境授業に講師を派遣しています。またリサイクルは再生されたものを上手に使ってはじめて環になります。せっけんの使いかた講座を開くなど、広くリサイクルせっけんの普及活動を続けています。子供たちの環境授業では、楽しく環境を学ぶ機会をと、環境クイズラリーを実施しています。近隣の市町村の学校を対象に、リサイクルせっけん工場の見学を提案しています。使用済み食用油-せっけんのリサイクルは実際に全体が目に見えると言う点で環境授業のよい教材になると考えます。使い終わった天ぷら油がせっけんになる様子を見ての子供たちの反応は様々ですが、後に「家に帰ってお母さんとせっけんのことを話しました」「これからはせっけんで自分の上履きを洗います」などという感想をいただくことが多く、スタッフの励みになっています。(講座実施件数:年間20件程度)

雨水タンクの普及活動

かつての風光明媚な手賀沼や印旛沼を取り戻すことは私たちの願いです。近年では、下水道の整備により、家庭雑排水の量は減少傾向にありますが、相変わらず2つの沼とも常に全国汚れた湖沼ワースト10に名を連ねています。沼周辺の開発が進み地面がアスファルトや建物で覆われることで、雨水が地面に浸透せず、一気に沼に流れ込む現象が起きています。近年のゲルラ豪雨と相まって、雨水と一緒に流れ込む車の排気ガスや市街地の汚れは年々増加しています。また印旛沼周辺では成田ニュータウンの開発とともに湧水が減少し小さな小川が減りました。産卵場所が減ったために、小魚が減ったということを、地元の漁師に聞きました。 そこで、雨水を貯め、水やりや打ち水に使うことで、雨水を一度地面に浸透させ、水循環を取りもどす方法として、雨水タンクの普及活動を始めました。ゲリラ豪雨の時などには、家庭が小さなダムの役割を担うことになります。 災害時の水の確保という防災の観点からも、水環境を取り戻すためにも、「家庭の小さなダム計画」活動を進めています。

せっけんの街の未来と課題

36年が経過して、長い年月にわたりおおぜいの人々が支える力が、NPOせっけんの街がせっけんの街としてあり続ける原動力となっていることをあらためて思います。おおぜいの私たちも一緒に年齢を重ね、次の世代に引き継がなければならない時が来ています。幸いにも二つの工場の工場長は若い世代に交代できましたが、活動のメンバーの世代交代が順調に進んでいないことは、今私たちに課せられた大きな課題です。
そこで、私たちは次の行動目標に2つの指針を掲げました。
○活動を支えている会員にも高齢化が進んでいます。そのためには、新しい会員を獲得することで、次の世代に活動を引き継いでいくことが最大の課題です。多様な参加の形を提供することで、おおぜいの人々がNPOせっけんの街にかかわることのできる組織作りを目指します。そのためには外に開かれたわかりやすい組織を作っていくことが必要です。多様な人々がかかわるということは、事務局体制の強化など組織マネージメント力も大切です。
○コロナ禍で対面でのアピール活動が減少している現在、SNSや動画でせっけんの街の製品の良さを伝えることも重要になっています。動画制作については、一部をプロに相談しながら、活動の紹介や持続可能で環境負荷の少ない暮らしの提案を行っていきます。
○育児休暇取得制度を創設し、工場で働く子育て世代の就業環境を改善しました。
○リサイクルせっけん製造はNPOせっけんの街の基本であることを確認し、確実に次につないでいきます。約2万人の人々の思いを集めて建設された2つのせっけん工場です。確実に次の世代に引き継いでいくために、製造技術の継承や採算ラインを考えた経営の安定化などが重要です。生活様式の変化とともに、せっけんの使用率は年々減少しています。新製品の開発や品質の向上などを通して、新しいせっけんの利用者を増やしていくための活動を進めていきます。

手賀沼せっけん工場は操業を始めて36年、印旛沼せっけん情報センターは26年になります。設備の老朽化は深刻な問題です。多く会員や後援者、関係団体に呼びかけ資金の調達をして、2018年より、職員のシャワー室などの改善を進めてきました。機械設備のための修繕費も年々増大しています。そのすべてを営業利益から賄うことは難しいと考えています。資金調達を含めた、長期修繕計画が必要になります。2021年度~2025年度の中期事業計画では、手賀沼工場を「見て・触れて・参加できる」工場へと全面リニューアルを進めることになりました。この活動を未来につなげていくために、今私たちにできることを続けていきたいと考えています。